08:30気温27℃前後の薄曇りの朝。一行は前半の旅の疲れもすっかり取れた様子でホテルを後にし、前日、見学した北塔裏にある「朝陽市北塔博物館」へと向かいました。北塔で発見された秘宝が展示されており、珍しい金銀細工と細かい宝石を散りばめた飾りのついた仏具類の美しさに一行は魅了され、ここでも興奮気味に撮影に没頭。見事な細工の秘宝類は他の陵墓から出土した金・銀の冠や仮面、そして、金銀糸でできた衣裳等にも見られますが、ここの秘宝はまさに遼代文化を代表する金銀細工の傑作揃いでした。
9:00次に、一行は前日閉館中だった「朝陽博物館」へと向かいました。真新しい「元中都博物館」や「赤峰博物館」に比べて、建物の規模や見栄えは見劣りするものの、展示物は貴重なものが揃っていました。先ずは5000年前の石器時代に栄えた紅山文化の出土品で、石耜・石犁・石鋤等の農具の石器類が多く、陶器類は煮炊き等に使う泥質紅陶と盛付け等に使う文様のある夾沙灰陶、妊婦をかたどった胸像、ヒスイ等を使った動物の装飾品等が数多くありました。1983年には「牛河梁遺蹟」から整然と石を積み上げた墳墓や祭壇が発見され、更に近くの山間に石の床と彩色を施された壁の神殿が見つかり、その中から眼がヒスイでできた陶製の女性頭像が発見されましたが、そのレプリカも展示してありました。また、殷代の青銅器や大阪府羽曳野市の丸山古墳で出土した2号鞍と細部がほぼ同じ文様の龍文透彫鞍が張陽市北票県の喇嘛洞墓から出土し、展示されていました。
12:00次にバスは長深高速、国道101号線を経由し、朝陽市から南西に約90キロメートルの建平県に到着、市街地のホテル「建平国際酒店」での昼食となりました。建平県は人口約58万人の朝陽市に属する県で、ここも街中は都市改造の建設ラッシュで、車や人々で活気に満ちていましたが、なぜか行き交うタクシーはほとんどが赤い三輪車でした。ホテル前にはド派手な装飾の門と金色の大砲や爆竹が用意されており、丁勇先生とそっくりさんの結婚式のようで、一行は興味深く、派手な披露宴会場を覗いたりしていました。
13:40中国式結婚式の話題で盛り上がった昼食後、一行は建平県と隣接の凌源市にかけて分布している、もう一つの旅の目玉「牛河梁紅山文化遺蹟」に到着しました。そこは小高い丘の峠道脇にあり、現在は世界文化遺産の登録申請準備のために、発掘現場を覆う大型の博物館を建設中で、当初は見学ができるかどうかはギリギリまで不明でした。しかし、そこは徐先生の偉大なところで、遼寧省考古研究所・牛河梁工作站の責任者を説得され、撮影禁止を絶対条件に特別扱いでの見学が許可されました。万歳!
ドーム内には石を積み上げた幾つかの墳墓や祭壇の跡が並んでいて、数人の工作員が盛んに発掘作業を続けていました。ただの石組の墳墓からヒスイ等を彫った動物等の装飾品が数多く出土したとのことで、改めて「牛河梁紅山文化遺蹟」の存在価値を伺い知ることができました。次に一行は工作站の責任者の先導で近くの「牛河梁工作站」を訪れました。静かな山間の一角にその建物があり、中には牛河梁遺跡から発掘された数多くの土器や陶器類が整然と整理・陳列してありました。また、有名なヒスイの目の女性頭像を復元した陶製物や女性像等が無造作に床に置いてありました。
続いて一行は近くの丘の上にある「女神廟」へと案内されました。辺りは松林に囲まれた静寂な場所で、新築のガラス張りの建物があり、その中にはヒスイの目の女性頭像が出土したという不思議な形の神殿跡が2階から見下ろせるようにしてありました。ここの発掘過程で、地下1メートルから祭祀の場や祭壇、壁画、石塚(ケアン)等が発見されています。ここでも世界文化遺産の登録申請のための周辺整備が盛んに行われていました。
注:上のドーム内の写真は注意される前に撮った貴重な2枚です。
15:00一行は工作站の責任者とお別れをし、凌源市側から国道101号線、長深高速を経由して南西へ180キロメートルの承徳市へと向かいました。凌源市は人口約65万人の朝陽市に属する県級市で、古くから日光温室での野菜生産団地として発展してきた地域ですが、ここでも都市改造中で大型トラックが行き交っていました。高速道路に入ると、山岳地帯の緩やかな下り坂が延々と続き、沿道の畑の中は煉瓦作りの日光温室が点在、遠くには高低様々な形の山々が重なり合っていました。途中、山間部にある三十家子のサービスエリアで小休憩、河北省に入る省境ゲートでは何故か厳しい検問が行われていました。
17:30バスはやがて高速道路を降り、承徳市に到着しました。承徳市の市内を流れる武烈河の対岸には高級な高層マンション群が林立していました。承徳市は燕山山脈の高原地帯にある人口約361万人の河北省に属する地級市で、世界遺産に登録された清代の離宮である避暑山荘や外八廟を有する国家歴史文化名城として知られています。明清の昔から避暑地として知られており、近年、国内外の観光客が急増するとともに人口も急増し、市街地域も急拡大しています。一行が武烈河に面した老舗ホテルの「雲山飯店」に到着すると、北京から駆け付けられた徐先生の奥様が笑顔で待っておられました。日本への出張で一行より1日早く北京に戻られる徐先生を出迎えるために来られたものでした。
18:30チェックインを済ませた一行は当初の予定を変更し、徐先生の招待で承徳市郊外にある承徳鋼鉄集団有限公司の迎賓館へと向かいました。貴賓室には張社長が一行を笑顔で迎えられ、徐先生からは予め揮毫された書数点を御礼として贈呈されました。
早速、これまで経験したことのないような豪華なテーブルでの“熱烈歓迎宴”が始まりました。宴には地元の財界人数人も招かれており、徐先生家族3人を迎えての宴に一行は驚きとともに、ここでも徐先生の好意に感謝の気持ちでいっぱいでした。高価な中華料理が次から次へと出される度に白酒での乾杯が行われ、しばらくするとテーブル両端の席が自動的に移動し始め、正面の舞台では社員で構成された芸術団の演技が始まりました。歌や民族舞踊や楽器演奏で大いに盛り上がり、最後は徐先生も参加しての日中カラオケ大会模様となりました。ここで一行は、中国人の金持ちは半端じゃないことを悟りました。
2日目 「居庸関」「鶏鳴駅城」「宣化古城」&「下八里遼墓壁画群」
5日目 「朝陽市北塔博物館」「朝陽博物館」&「牛河梁紅山文化遺蹟」
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