07:30厳しい残暑が続く中、昼間34℃予想の東京は快晴の朝を迎えました。羽田国際空港・旅客ターミナル3階出発ロビーのAカウンター付近に、羽田発着組の8名が集合し、初対面同士の自己紹介を済ませた後、早速、搭乗手続きを行いました。エコノミークラスのチケットながら、一行には本日限りの特別処置としてプレミアムエコノミークラスの席が用意され、密かな喜びを感じつつの出国手続きでした。しかし、搭乗開始間際になって、午前9時25分発のNH1255便は、北京国際空港の空の渋滞のため、午前11時発に変更する旨のアナウンスがあり、がっかり。関空発着組の2名にもこの旨、連絡を取り、先着予定の北京国際空港で待機するよう伝えましたが、しばらくして関空組からも連絡が入り、同理由で関空便のNH159便は1時間半遅れとのことでした。南無!
10:30やっとの思いで搭乗を開始し、午前11時にほぼ満席のNH1255便は無事、離陸しました。一息つき、プレミアムシートでの機内食を終えてビデオ映画でも観賞しようとしましたが、うまく繋がりませんでした。しばらくすると同装置が故障との機内アナウンスがあり、またまた、がっかりものでした。トホホ!
13:30天候も良く、機自体は順調に飛行を続け、北京の夏としては大変珍しい気温25℃前後の快晴の下、北京国際空港に到着しました。厳しさの増している中国での入国審査を無事終え、無人シャトルを経て各自スーツケースをピックアップ、到着出口へと進みました。大勢の出迎え人で混雑する中、昨年に続いての全線ガイド・劉建軍さんが一行を笑顔で迎えてくれました。昨年参加の皆さんとは1年ぶりの再会で、互いに喜びを分かち合っていました。関空組は更に1時間遅れの午後2時半に到着、日本側全10名が揃った午後3時過ぎ、爽やかな青空の下、ポプラ並木の高速道路を突き進み、渋滞中の四環路をバスは西の北京大学へと急ぎました。
16:00当初予定より1時間程遅く北京大学に到着、「サックラー博物館」へと向かいました。昨夏は外装工事中で覆われていたシートも取り外され、見事な色調の清代古建築が復元されていました。正面玄関口には前日から北京入りされていた稲畑耕一郎教授と徐天進教授が笑顔で出迎えられ、早速、一行は両教授とともに足早に「サックラー博物館」での北京大学考古90周年・考古文博学院創業60周年記念の特別展を見て回りました。
16:30考古文博学院の特別会議室で「開講式」が行われました。最初に徐天進先生が歓迎の挨拶とともに、今回、家庭事情の杭侃先生に代わって急遽、「特別講義」をしていただくことになった考古文博学院の偉正教授と、同じく急遽、臨時講師として今回のツアーに同行していただくことになった内蒙古将軍衛署博物院の丁勇副院長を紹介され、次いで、稲畑先生から広大な中国大陸を縦横する考古学ツアーの目的と意義についてのお話がありました。更に、徐天進先生からは恒例となった記念のTシャツとともに、今回新たにキャンピング用の帽子が受講生の皆さんに贈呈されました。
16:45偉正先生による「遼・元王朝の遺蹟群」をテーマに、プロジェクターを使って特別講義が行われました。講義は豊富な航空写真や地勢図を駆使し、早稲田大学文学学術院・原田信助手の通訳で、内蒙古自治区に点在する遼及び元の都城遺蹟群の特色と考古学的な意義について、熱心に行われました。特別講義の概要は次の通り。
【 特別講義の概要 】 講師: 北京大学考古文博学院 偉正教授
1) 先ず地勢的に、大興安嶺山脈を境にして、東側は雨量が多くて河が流れ、農耕に適した風土であるのに対し、西側は雨量が少なく草原地帯となっていて農耕には適していないこと。
2) 本来は遊牧民族であった契丹族は、その東側から中国を支配して「遼」を建国したことから、漢民族の農耕文化を比較的容易に受け入れられたこと。
3) これに対し、蒙古族は西側から中国を支配することになったため、漢民族の農耕文化を受け入れることは少なく、独自の遊牧文化を残したこと。
4) 遼王朝の都城造営では、北側の皇城の契丹族と南側の漢城の漢族との住み分けが行われ、支配階層と一般民衆との区別が行われたのに対し、元王朝では極端な漢化は行われず、大陸全域の文化、交通、商業に独自の発展を遂げたこと。
5) 遼の中京遺蹟等は中原の文化との関係が深く、隋・唐の都城制度を真似て造営されたこと。
6) 遼代の墓葬壁画や遺品等から、遼は漢族の文化の影響を強く受けていることが明らかになりつつあり、これは近年の大きな考古学的成果と言えること。
1時間超で特別講義は終了し、一行は一旦、バスに手荷物を預け、緑に囲まれた北京大学のキャンパスを散策しながら、西正門前のレストラン「暢春宴」へと向かいました。
18:30徐天進先生、偉正先生及び丁勇先生を交えての「歓迎会」が開催されました。徐天進先生からは、丁勇先生のお父様は北京大学の大先輩、親子二代にわたる考古学者で、今回の考古学ツアーには最適の人物であること、偉正先生からは、日本の“お年寄り”が中国の歴史や考古学に興味を持ち、熱心に勉強される姿に感動した旨、話がありました。受講生からは、昨年のサマーキャンパスの想い出や今回の草原の旅に対する期待と不安について語られる等、歓迎宴は終始、和やかな雰囲気の中で行われました。
20:00惜しみながらも「歓迎会」はお開きとなり、徐天進先生とはここで、明朝の待合わせ場所と時間を確認して別れ、一行は丁勇先生とともに長安街に面する「北京飯店」へと向かいました。北京市の中心街は派手な広告塔や明るい街灯の下、人々と乗用車で溢れ返り、まるで休日の夜のような賑やかさを呈していました。午後9時前、「北京飯店」に到着。チェックインを済ませた一行は、この日は早朝からの長い第一日目の異国の夜とあって、翌日からの長旅に備えて、各自、早めの就寝となりました。
1日目 「開講式」「特別講義」&「歓迎会」
2日目 「居庸関」「鶏鳴駅城」「宣化古城」&「下八里遼墓壁画群」
5日目 「朝陽市北塔博物館」「朝陽博物館」&「牛河梁紅山文化遺蹟」
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