第7回 毎日エクステンション・プログラム
「北京大学・サマーキャンパス2012」<報告・2日目>

<2日目> 8/23 「居庸関」「鶏鳴駅城」「宣化古城」&「下八里遼墓壁画群」

08:30この日も気温25℃前後の爽やかな朝。一行は元気な様子で、さぁー、いよいよ北方に向かっての長距離バスツアーの始まりでした。バスは36人乗りの中型バスで、座席は充分過ぎるくらいの余裕がありました。北京市内の中心街から北へ進み、五環路を過ぎて間もなく、チベットのラサまで続く京蔵高速に入り、昨晩、徐先生との待合わせ場所である北京郊外の八達嶺行きの入口付近に近づきました。何と車が猛スピードで行き交う高速道路の右側路肩に、徐先生親子が荷物を持って手を振っておられました。どうして高速道路の車線脇まで入り込めるのか、一行には信じられない光景でした。午前9時10分、徐先生親子と合流し、ガイドの劉建軍さん、運転手さんを加えた総勢16名のバスは一路、北京市街から約50キロメートルに位置する「居庸関」へと向かいました。

居庸関


09:50高速道路は順調に流れ、やがて切り立った山岳地帯へと進んで「居庸関」に到着。ここは北京を代表する観光地「八達嶺長城」へ向かう途中の峡谷に位置する要塞で「天下第一雄閣」とも呼ばれています。春秋戦国時代に建築されたのが始まりとされ、後漢時代に大規模な要塞として整備、南北朝時代に北魏により長城と連結され、以降、歴代王朝が長城線上の重要拠点として軍隊を駐留させました。明代には北方に駆逐された元軍の再侵略を防衛するために大規模な長城修復が行われた際に、「居庸関」もより強固な要塞として改修されました。清代に入って統治範囲が長城線より更に北方に拡大されたため、北方民族に対する防衛拠点としての性格が希薄となって荒廃が進みましたが、1990年代以降になって、明代の状態に復元され、現在に至っています。

この「居庸関」で考古学的に特に重要なのは「雲台」という元代に建築されたラマ塔遺蹟で、中央はトンネル状になっており、南側の上にはカルーダ、北側にはナーダのレリーフが彫られています。トンネルの内部には四天王のレリーフ、陀羅尼経文とともに、雲台建設の由来を記した造塔功徳記が刻まれており、その経文と功徳記は、漢字、サンスクリット文字、ウイグル文字、チベット文字、パスパ文字、西夏文字の6種類の文字で刻まれていて、謎とされていた西夏文字の解読の大きな手掛かりになりました。

居庸関

居庸関

居庸関


10:15バスは大勢の観光客で賑わう「居庸関」を後に、西北へ約80キロメートルに位置する「鶏鳴駅城」へと向かいました。大勢の観光客で賑わう万里長城が見え隠れする峡谷地帯を抜け出すと張家口市に向かう京蔵・京張高速沿いの景色は一変、トウモロコシとヒマワリ畑が所狭しとばかりに大地に拡がり、やがて右側には大きな細長い湖(官庁水庫)が見えはじめ、その両岸一帯に大きな風力発電機が延々と立ち並んでいました。高速道路は予想外に大型車両も少なく、緑豊かな田園地帯での快適なドライブとなりました。

居庸関

居庸関


11:35バスは高速道路を降りて間もなく、特徴的な鶏鳴山の麓にある「鶏鳴駅城」に到着しました。明・清時代の宿場町として栄えた城跡で、周囲1,300メートル、高さ12メートルの黄土と煉瓦で築かれた正方形の城壁に囲まれています。東西2カ所に城門があり、城内には現在も約千人余りが生活しているとのことです。1219年にジンギス・ハーンが征西した際、西域への途中に中継場を多く設置しましたが、「鶏鳴駅」はその内の一つで、中国で現存する最大規模の古代宿場町です。明代の永楽帝18年(1420年)から、北京西北部の最大の宿場町として拡大され、役所、倉庫、寺院、舞台等が完備され、現存する城壁は1570年に改築されたものです。1900年、八カ国連合軍が北京に侵入した際、西太后が西安に逃げる途中、この「鶏鳴駅城」に一泊したとも言われており、狭い路地の奥まったところにその質素な建物がありました。

鶏鳴駅

鶏鳴駅


12:00一行以外に観光客もなく、歴史に取り残されたような素朴な街「鶏鳴駅城」を後に、バスは再び京張・京新高速に入って「宣化古城」へと向かいました。約30分で宣化北の高速出口に到着、宣北市内のレストラン「清逸楼飯荘」での昼食となりました。ここでの昼食は羊肉と牛肉と野菜を山盛りにしたシャブシャブ料理でしたが、これが意外とさっぱりとしていて美味しく、一行の食欲は旺盛でした。

宣化古城

宣化古城


13:50食事を終えた一行は「宣化博物館」に出向きました。しかし、昼の休憩時間とかで閉館中。先に宣化古城の鼓楼「鎮朔楼」に向かったものの、ここも休憩中。仕方なく古い商店街を散策しながら、北側に聳える鐘楼「清遠楼」へと向かいました。午後2時前でしたが、ここの受付のおばさんは気持ちよく鍵を開けてくれ、一行は急な階段を登って鐘楼の舞台から北方民族の襲来に備えた宣化古城の全域風景と地勢を見渡しました。

宣化区は人口約30万人の張家口市に属する市轄地ですが、歴代の軍事要衝として知られ、明代には九要衝の一つに数えられました。旅遊区には「鎮朔楼」「清遠楼」の他に、「下八里張世卿墓壁画」「五龍壁陶板彫物」「時恩寺」等が有名で、古城文化、建築文化、仏教文化、遼代墓葬文化を誇っています。京西(都の西部)の政治的中心でもあり、歴代の帝王は常時、宣化を巡視しました。明武宗・朱厚照は宣化府に鎮国の屋敷を建て、多くの風流な事物を残しています。また、清の康熙帝は7回、北巡し、西への遠征には宣化府の精鋭部隊が出征準備を行いました。康煕36年(1697年)に康熙帝はモンゴルのガルダン・ハーンに対する第二次出征を行いましたが、その際もこの宣化に駐在しました。また、宣化は内陸モンゴルの商品交換を行う集散地でもあり、“陸路の貿易都市”の呼び名が昔からありました。明の嘉靖年間には“馬市”も開設されていました。

宣化博物館


15:00再び「宣化博物館」へと戻ると今度は館長が笑顔で出迎えてくれました。ここは何と言っても「下八里張世卿墓」の遼墓壁画(復元画)の展示が目玉となっています。1973年の遼代の観察史・張世卿の墓葬に始まり、最近になって九基の遼代壁画墓葬が発掘調査され、これらの墓群から300メートル余りの完全な遼代彩色壁画が発見されました。その中の散楽図、茶道図、天文図、旅行図、侍女図、畜経図等は中国初の発見で、遼代の歴史、文化、天文、民族、服飾等を研究する上で重要な意味を持っています。墓の天井には星像図が描かれており、中国古代の「二十八宿」を中心に、古代バビロンの「黄道十二宮」の説が取り入れられ、国内外の壁の星図に合致する構成となっています。館内は壁画の外に、宣化古城の復元模型や古代の発掘物、近現代の様々な史料が展示されていました。

「下八里張世卿墓」の遼墓壁画(復元画)


15:50素晴らしい彩色壁画を鑑賞した一行は、館長の案内で現在未公開中の「下八里遼墓壁画群」の発掘現場に行くことになりました。途中、修復された「宣化古城」の西門にも立ち寄りましたが、西安の明代城壁を思わせる大規模な城壁に驚かされました。


下八里遼墓壁画群


16:30館長の先導で宣化の北西部にある「下八里遼墓壁画群」の発掘現場に到着。辺り一帯は静かな農村風景が広がり、遼墓群の入口には古びた鍵がかかっており、付近の住民が興味深そうに集まり、一行を笑顔で出迎えてくれました。

一行が小さな煉瓦造りの墓葬入口に潜り込むや否や、大きな歓声が上がりました。何とそこにはライトに照らし出された極彩の見事な壁画の世界が拡がっており、斬新で豪華な墓室はまるで地下の芸術宮殿の様相でした。一行は“実物”を目の当たりし、興奮気味に撮影に没頭。この時、撮影を黙認してくれた館長と、現地見学を説得していただいた徐先生に対し、感謝の気持ちでいっぱいでした。万歳!

下八里遼墓壁画群

下八里遼墓壁画群

下八里遼墓壁画群


興奮覚め止まぬ一行は、親切な館長の道案内で高速道路の入口に向かう途中、今度は「宣化古城」の西側の城壁跡に立ち寄りました。修復されないままの城壁ながら、煉瓦と版築の強固な造りで高く、京新高速に沿って延々と伸びており、改めて「宣化古城」の規模の大きさに驚かされました。ここで館長とお別れをし、夕暮れ迫る中、張家口市の北西部に位置する張北県へと向かいました。謝謝!

下八里遼墓壁画群


18:50この日のホテル「宏昊假日大酒店」にチェックイン、午後7時20分にホテル内のレストランでの夕食となりました。先ずはこの日一日の充実した見学地の感想を話題に白酒で乾杯し、辛い地元料理に刀削麺を味わいつつ、午後9時にお開きとなりました。

張北県は人口約38万人の張家口市に属する県で、旧市街の郊外に広大な面積の新市街地を開発中で、ホテルの裏側には建設労働者用と思われる古い宿舎や煉瓦造りの古い工場が見えるのに対し、表側には中央分離帯のある広々とした立派な道路添いに建設中の高層マンション群が立ち並んでいました。


 「北京大学・サマーキャンパス2012」 報告

報告 1日目 「開講式」「特別講義」&「歓迎会」

報告 2日目 「居庸関」「鶏鳴駅城」「宣化古城」&「下八里遼墓壁画群」

報告 3日目 「元中都博物館」「元中都遺跡」&「元上都遺跡」

報告 4日目 赤峰博物館」&「朝陽双塔」

報告 5日目 「朝陽市北塔博物館」「朝陽博物館」&「牛河梁紅山文化遺蹟」

報告 6日目 「普寧寺」「普陀宗乗之廟」&「避暑山荘」

報告 7日目 「清東陵」&「独楽寺」「白塔寺」

報告 8日目 「元大都城遺蹟」&帰国


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