「カトマンズ・弔問の旅」報告/
故ケーツン・サンポ師への弔問

故ケーツン・サンポ師への弔問

ニンマ派ゴンパ

初夏を思わせる快晴の下、カトマンズから約2時間かけて、やっとの思いで、周囲はまだまだ緑の多いゴンパに到着しました。出迎えのラマ僧が早速、日本からの弔問客に対して「カタ」という白い布を一行の肩にかけ、歓迎してくれました。一階の本堂では若いラマ僧達が日常のお勤めと見られる法要を行っており、辺り一帯に読経が響いていました。

リンポチェを出迎えるラマ僧たち

かつて故ケーツン・サンポ師とお会いしたゴンパ二階の部屋に通され、師の遺影が掲げられた仏壇の前で一行は順次、お線香をあげ、ご冥福と感謝の祈りを捧げました。

その後、師の後継者であるジグメ師と面談し、我々と故ケーツン・サンポ師との関係及び今日までの経緯を説明、ジグメ師からは生前から我々のことをよく聞かされていた旨、お話がありました。


その上で、ご自分がケーツン・サンポ師の娘さんの子で3歳の時からこのゴンパに預けられたことや高僧カギュ・リンポチェの転生活仏であること等、自己紹介があり、現地スタッフからの情報にあった故ケーツン・サンポ師の逝去にいたる経緯とクリメション儀式(火葬)の様子について、パソコンの写真を使いつつ、詳しい説明を受けました。

故ケーツン・サンポ師の火葬の法要は2010年1月15日の早朝6時から行われたとのこと。ジグメ師をはじめ、ゴンパのお弟子さん達や海外からのお弟子さん達が出迎える中、儀式を執行されるリンポチェが到着され、ご遺体が安置された本堂で厳かに法要が始まりました。

法要の後、師の御遺体はやがてお弟子さん達の手で担がれ、本堂内から屋上のストゥーパへと運ばれ、火葬の儀式が執り行われました。お弟子さん達の読経が続く中、白塗りに装飾された煉瓦造りのストゥーパにリンポチェが灯火され、故ケーツン・サンポ師に対する供養の品々に加持・祈祷が行われ、師のもとへと届けられました。

生前、故ケーツン・サンポ師はこの世でやり残したことはないと、ご自分の死への準備をされるとともに、「私の死を悲しむことはない。教えていたことを引き続き学びなさい」と、まるでお釈迦様のような遺言を弟子たちに残されたそうです。更に、ご自分の転生活仏については、今は分からないが、いつかどこかで皆さんが自然とそうだと感じる人物が必ず現れるとのことでした。合掌!


チベット仏教には土葬、水葬、火葬、鳥葬(天葬)と様々な遺体の処理方法があるとされていますが、いずれの場合もお墓はなく、きれいさっぱり人間は自然に回帰するものと考えられています。故ケーツン・サンポ師の場合もお墓はなく、遺骨が立派なストゥーパに収められ、本堂右側に安置されていました。遺骨を残す行為は、高僧にのみ許されるとのことで、一行はここで黙祷を捧げ、師との最後のお別れをしました。


 【参考】 『チベット死者の書』とは

「チベット死者の書」はチベット語で書かれた経典をアメリカの人類学者(エバンス・ヴェンツ)が英語に翻訳するときにつけた題名(The Tibetan book of the Dead)に由来しています。しかし、チベット語の原題「バルド・トドゥル」の意味している内容はすこし違い、そのなかに生と死に関する深遠な考え方がこめられていました。

この経典は、死に臨む人の耳元で死の直前から、死後四十九日間にわたって、えんえんと語り聞かされる物語です。チベット語の“バルド”は中間の状態を表し、“トドゥル”は耳で聞いて解脱するというような意味を持っています。この経典の持つ最も大切な考え方は“バルド”という言葉に表れています。

「バルド・トドゥル」では、人は死ぬと“バルド”という別の状態に入ってゆくのだと説明しています。“バルド”は中間、つまり途中という意味ですから、死は終わりではなく一つのプロセスにすぎないという考え方でしょう。人がそれぞれの身体をもって生きているのも一つの過渡的な状態で、生と死をくりかえす大きな旅の途中だと説いているのです。≪河邑厚徳/林由香里「チベット死者の書 仏典に秘められた死と転生」(日本放送出版協会)より≫

日本でもよく知られた「バルド・トドゥル」はチベット仏教ニンマ派の経典ですが、チベットでは、多数派を占めるゲルク派の「クスムナムシャ」の方が一般的です。「バルド・トドゥル」は臨終に際してラマ僧によって読まれますが、「クスムナムシャ」は死んでから聞かせても意味が無く、生きているうちに学ぶべきとされています。

前者はニンマ派の宗祖パドマサンバヴァが著し、弟子が山中に埋め、後代にパドマサンバヴァの五代目の転生者によって発掘されたテルマであると伝えられています。後者は18世紀のラマ僧ヤンチェン・ガロが無上瑜伽タントラの「死」「中有(バルド)」「生」に関する内容を簡略にまとめた著作であり、両者ともインドの初期仏教に由来するものではなく、チベットで成立した特有の教典とされています。




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