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「陝西省西安・考古工作視察の旅」 <報告・3日目>

<3日目> 10/23 「漢長安城未央宮遺跡」&「秦漢渭河橋遺跡」視察

午前8時半、晴れ、気温10℃の朝。一行はホテルを出発し、焦先生運転の先導車を追って、西安市西北郊外5キロに位置する「漢長安城未央宮遺跡」へと向かいました。焦先生の車には東京都の文化財研究所のお一人も一緒で、3日間一行の午前中の視察に同行されるとのことでした。通勤ラッシュと高速道路の閉鎖が重なって幹線道路はあちこちで大渋滞となり、午前10時半にやっとの思いで遺跡入口に到着しました。既に到着して一行を待ち構えていた焦先生達は、一行を急かすように未央宮遺跡の陳列館へと案内してくれました。


未央宮遺跡の陳列館


「漢長安城遺跡」は前漢の都城跡で、関連資料によりますと、漢の高祖の5年(前202)に、劉邦が秦朝の興楽官を改修して長楽宮と改称し、当地に遷都しました。次いで未央宮を造営(前200)、その10年後に初めて長安城の城壁を築きました。城壁は版築で築かれ、周囲23キロ、高さ8メートル、底部の幅16メートル。城壁の北面は渭河の流れに沿っていたため、いびつな形をしています。各面に城門が三つずつ設けられ、城門ごとに三つの通路があって、城内に大通りが三本通じていました。武帝の時代に、北宮・明光宮・建章宮が造営されるとともに、西部の上林苑を拡張して昆明池が開削されました。漢長安城の完成には90年余りが費やされ、現在は東西の城壁と未央宮・長楽宮・建章宮・承露殿等の遺構が存在しています。陳列館には立派な漢長安城の模型が展示されていました。


未央宮遺跡
未央宮遺跡
未央宮遺跡


カートを利用し、遺跡の管理責任者の案内で広大な「漢長城未央宮遺跡」の見学を終えた一行は、ここで焦先生と別れ、遅くなった昼食のため、王志友先生達5人のスタッフとともに渭河橋遺跡への途中のレストラン「桂酒店」に立ち寄りました。一階の大食堂は大勢の家族ずれの客で賑わっている中、2階の個室に案内された一行は、ビールで乾杯した後、漢長城遺跡について王先生に様々な質問をし、特に幾つもの農村の立ち退き問題やその後の農民達の生活等についての興味深い話に聞き入っていました。


桂酒店


午後2時過ぎ、昼食を終えた一行は「秦漢渭河橋遺跡」へと向かいました。大型車両が行き交う街道沿いの養殖場跡という土砂を山積みした採石場のような場所に到着。そこから少し歩いて前方の小高い丘のような所から4、5メートル程見下ろした谷底に、数人の調査員が発掘作業をしている橋げたの遺跡現場が見えました。王先生の説明で発見の経緯や現在までの発掘状況等についてパネルで詳しく説明を受けた後、一行は早速、足場の悪い急坂を下り、掘り起された橋げた群の間の川底だった場所で、コテと刷毛を使って古銭を発掘する調査員の様子を間近で見学しました。発掘された古銭は一つ一つ丁寧に、その場でGPSを使って正確な位置と発見状況等を記録・撮影していました。


発掘作業
発掘作業


一行にも専用のコテと刷毛が渡され、調査員が見守る中、いよいよ発掘の実習が始まりました。初めての本格的な発掘作業に多少戸惑いながらも、砂地や瓦片を掘り起こし、懸命に古銭を探し出しました。しばらくして最初の古銭が見つかり、調査員の記録・撮影の際、発見者の名前も記録して欲しいというリクエストに周りは笑いに包まれました。その後、次々と清代の古銭が見つかり、中には漢代のものもあって全部で10枚の古銭を発掘することができました。何故、古銭が川底に埋もれているのかは定かではありませんが、恐らく新築や改築時に縁起を担ぐため、橋の上から掘り投げたのではないかと、各自勝手に推測していました。


発掘作業


研究院の資料によりますと、2012年4月に新発見された時の2組4座の古橋は、これまでに発見された最大規模の秦漢代の古橋で、その規模は巨大で渭河を跨いでおり、秦漢代の考古学、交通史、中国古代橋梁史の研究にとって重要な価値を有し、漢長安城周辺地区の道路網、河川網の系統を探求するための収穫だけではなく、漢長安城遺跡の保護、秦漢の都城交通史の研究に対しても重要な価値があるとされ、2014年4月に中国の「2013全国十大考古新発見」に選出されました。

王先生によりますと、「秦漢渭河橋遺跡」は、これまで既に3組7座の渭河橋が発見されており、その内、ちょうど漢長安城北壁の“厨城門”と正対して約1200メートル離れたところにある1組5座の古橋は“厨城門橋”と呼ばれており、発掘状況からみて、厨城門一号橋は構造規模が巨大であることから、地元の専門家は、現在の世界で発見された最大規模の木梁柱の橋で、しかも漢長安城から出城後、第一座の橋梁であると述べています。構造は北京・故宮前の“金水橋”に類似しており、多くの重大な儀式がそこで挙行されたと思われ、この発見は恐らく中国の橋梁史を書き直すことになるとのことでした。また、別資料によりますと、漢武帝から匈奴対策の一環として西域に派遣され、烏孫・大宛・その他の西域諸国との関係を結ぶことによってシルクロードの交易路を開いた“張騫”が、長安を出る時に跨がった第一座の橋梁がこの橋であり、西安がシルクロードの起点とされていることから、この橋はシルクロードの第一橋であろう、とも言われています。

修復作業


午後6時半、初日の実習を終えた一行はホテルへと戻り、ホテル近くの“大唐不夜城”のレストラン街での夕食となりました。劉健軍さんご推薦の包子料理の店は生憎、超満席で1時間以上待ちとのことで、別のレストラン「小六湯包」での食事となりました。一行だけの夕食ということで、山盛りの湯包料理を味わいながら、話題は中華料理の調理法や中国との付き合いの仕方について話題となり、長老からは体験に基づいた中国人への接待法についていろいろとご教示いただきました。食後は各自、自由時間となり、一部は劉さんの案内で、話題になった中華料理用の調味料等の買い物に出かけました。

 「陝西省西安・考古工作視察の旅」 報告

報告 1日目 出国&「中国国家博物館」特別見学

報告 2日目 「高速鉄道の旅」&「陝西省考古研究院」表敬訪問

報告 3日目 「漢長安城未央宮遺跡」&「秦漢渭河橋遺跡」視察

報告 4日目 咸陽「漢武帝茂陵」視察

報告 5日目 「周原遺跡」視察

報告 6日目 帰国の途へ


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