毎日エクステンション・プログラム
「山東省の古代遺跡を訪ねる旅」 <報告・3日目>

<3日目> 9月26日 「滕州大韩墓地」&「大汶口遺跡・大汶河、明石桥、民居」

この日は気温17℃、晴の天気。2泊目の朝食も最上階のレストランから朝日に照らされた済南市の景色を眺めながらのひと時でした。午前8時半、旅慣れた一行は各自チェックアウトを済ませ、済南市から南へ約300キロ離れた滕州市の大韓村へと向かいました。 この日は路先生の推薦で、当初の予定を変更し、現在発掘中の「滕州大韩墓地」の見学でした。途中、泰安のパーキングエリアでトイレ休憩をとりながら、午後0時前に農村風景が広がるトウモロコシや粟畑の一角にブルーシートに覆われたテントが見えてきました。

遺跡

滕州一体は商周代の遺跡が比較的多く存在していることもあって、2017年3月頃に大韓墓での盗掘事件が発生し、青銅器150点余りが公安部門によって奪い返されました。これを機に2017年4〜5月に考古探査が行われ、墓地は東西約100メートル、南北70メートル、総面積約7000平方メートル、合計で70座の墓葬が発見されました。2017年10月及び2018年1月の発掘調査では新たに墓葬53座、未完成の墓葬古墳1座が発掘され、現在も発掘作業が続いています。今回は劉延常先生のご協力で一行の特別見学が許可されました。発掘現場には夜間の盗掘防止のため、防犯カメラを備えた公安部門の車両が睨みを利かす中、山東省考古研究院の発掘現地責任者・王龍先生が一行を出迎え、真新しい野外の看板を見ながら、春秋後期・戦国期の滕国古城や薛国古城と大韓墓地の位置関係や何層にも重なった墓葬群等、現在の発掘状況についての説明を受けました。

遺跡遺跡


貴重な体験となった発掘現場での見学を終えた一行は、遅い昼食のため、王先生の先導で近くにある山東省文物考古研究院の発掘前線基地へと向かました。トウモロコシ畑の中を進むと、あちこちで発掘現場があり、やがて車は「古薛国官橋漢文化園」の看板がかかった新しい建築物に隣接する前線基地に到着しました。前線基地の周辺には大小様々な画像石が無造作に置かれ、近くには「官橋村南墓群」の石碑がありました。現在、ここ周辺一帯は「漢墓」をテーマにした大規模な公園施設を建設中とのことでした。

古薛国官橋漢文化園


ここでの昼食は、前日、劉先生が手配してくれた現地の田舎料理で、前線基地の料理人が目いっぱいの御馳走を準備してくれていました。路先生が準備していた白酒で乾杯し、これまでとは一味違った田舎料理を味わいました。

昼食

昼食の後、一行は別階の文物庫へと案内され、「大韓墓地」から発掘された文物類の修復作業中の様子を垣間見ることができました。発掘された細かな陶器類の細片を一点一点分類し、それらを組み合わせて復元するまでの気の遠くなるような考古作業の困難さを改めて知ることができました。

古薛国官橋漢文化園


次に一行は前線基地近くの「漢墓」の発掘現場へと案内されました。現場の周囲は金網で入口は施錠されており、現地の管理人を呼び出しての見学でした。深く掘り下げられた墓葬
群は画像石の漢墓が何層にも重なっており、墓葬の中には人骨や副葬品の一部も見え隠れしていました。

漢墓


午後3時、一行は王先生と別れ、滕州市から北へ約100キロ戻って、泰安市にある「大汶口遺跡」へと向かいました。発掘現場の見学続きで疲れた一行は車中、熟睡状態で、気がつけば高速道路を降りて「大汶河」を渡り、右側には「大汶口遺跡公園」の看板を掲げた河畔の公園が見えました。しかし、車は街中を進み、途中の車止めのところで停車。そこから先へは徒歩で目的地に向かいました。大汶口鎮は昔から交易の要所として発展し、そこには明代の富豪商人が築いた石組みの「明石桥」「民居」が再現、保存されていました。

遺跡

夕陽を眺めながら「明石桥」を渡り、「大汶口遺跡」を探しましたが、河岸に「汶河石橋」の石碑があるだけでした。「大汶口遺跡」は汶河の鉄道橋の湖畔にあり、発掘された文物は全て博物館に収蔵され、今は石碑があるだけで記念公園になっているとのことでした。



ホテル

午後6時半、夕闇迫る中、一行は泰山の麓にあるホテル「泰安東尊華美達大酒店」に向かいました。泰安市は世界複合遺産の「泰山」を擁し、内外の観光客が大勢押し寄せる豊かな都市のようで、街中は小奇麗な建物と整備された広い道路に整然とした街路樹が立ち並んでいました。一行は、すっかり日の暮れた豪華な構えのラマダプラザ系ホテルでのチェクインを済ませ、ホテル内のレストランでの遅い夕食となりました。

夕食

この日は済南から滕州、滕州から泰安へ約400キロ、発掘現場の見学を含めて約10時間の強硬日程でしたが、路先生の推薦で「大韓墓地」の特別見学ができたことに感謝しつつ、この夜は白酒抜きで、逆ラベルの地ビール“28”で乾杯。「大汶口遺跡」が公園となっていて見学できなかった事や当初予定のホテル「泰安大汶口郷奢芸術酒店」が「明石桥」近くの「民居」の一角にあり、スーツケースを車止めまで行き来するのは大変だった等、様々な話題をしつつ、比較的あっさりした郷土料理を味わいました。
午後9時過ぎ、和やかな雰囲気の内に夕食を終え、この日のお開きとなりました。



 「山東省の古代遺跡を訪ねる旅」 報告

報告 1日目 出国・入国 & 「中秋節」

報告 2日目 「山東大学博物館」「山東省博物館」&「歓迎夕食会」

報告 3日目 「滕州大韩墓地」&「大汶口遺跡・大汶河、明石桥、民居」

報告 4日目 「泰山」「城子崖遺跡」「章丘焦家遺跡」

報告 5日目 「斉文化博物館」「斉国故排水道遺址」「殉場坑遺址」

報告 6日目 「青州市博物館」「駝山石窟」「青州古街」

報告 7日目 「青島市博物館」& 出国・帰国


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