雲時々晴れ、気温30度前後の爽やかな朝。午後8時30分、一行は各自、帰国の荷造りを済ませて早々にチェックアウトし、厦門南西部にあるコロンス島(中国語で「鼓浪嶋」)へと向かいました。夏休み最後の日とあって、島へのフェリーは観光客で超満員でした。
島の名前の由来は、西部にある岩礁が風雨にさらされ洞窟になり、満潮時になると波に叩かれ太鼓のような音を発したことによります。コロンス島は全国景観35選にも選ばれている中国を代表する景観地で、厦門島とは鷺江と呼ばれる海峡を隔てて向き合っています。
島の面積は1.78平方キロで、2万3000人余りが生活をしています。この島が一般的に知られるようになったのは、明末に民族英雄の鄭成功がこの島で反清抵抗軍の調練を行ってからで、清末の1902年には列強の租界地とされ、イギリス、アメリカ、フランス、日本、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オランダなどの国が領事館や病院、学校、教会などを建設したことから、租界地特有の豪華な洋風建築が島内のあちらこちらで見ることができます。当時の建物は今日でもその多くが残されており、そのためこの島は「万国建物博覧」の異名ももっています。また歴史的な原因から、この島の住民のピアノの保有率は全国のトップとして知られており、多くの人材を輩出したことから、また、鼓浪嶋の住人は音楽好きで知られており、住宅街で耳を澄ませばピアノやバイオリンの音が聞こえてくるといわれていて、「ピアノの島」または「音楽の郷」とも呼ばれています。
一行は、民族的英雄として称えられる明の軍人・鄭成功の像をバックに記念撮影をし、約1時間かけて洋風建築のある地域をゆっくりと散策しながら進みました。途中、「日本領事館旧址」の石碑がありましたが、その門柱には赤いペンキで日本領事館旧址の文字が掻き消されていました。これが今回の訪中で、唯一の抗日的な出会いでした。
午前10時過ぎ、大勢の観光客で賑わうコロンス島を離れ、一行はバスに乗って市街地にある骨董品屋に立ち寄り、いろいろ品定めをしながら最後の買物をしておられました。
バスが空港へ向かう途中、山田理事長から成田国際空港では混雑が予想されることから、車中で今回の訪中団の解散挨拶があり、添乗員の橋本理事はじめ、全線ガイドの劉建軍さん、現地ガイドの陳洪軍さんへの感謝の言葉とともに、特に総走行距離1,700キロメートルにも及んだ福建省縦断のバスの旅の運転手さんに対しては全員拍手でもって、感謝とお別れの挨拶となりました。
午後0時、厦門高崎国際空港に到着した一行は、今回、同行と通訳等で大変お世話になった李賀敏氏をはじめ、橋本理事、劉建軍さん、陳洪水軍さん、更に、わざわざ見送りに来られた法雲法師との慌ただしい別れの挨拶を済ませ、大勢の旅行客で混雑する中、急いで搭乗手続きカウンターへと進んで行きました。この時、団員のお一人だけがスーツケースのチェックで引っかかり、中身を全部出されてのチェックを2度繰り返してやっとクリアしました。何と原因はビデオ用の小さなリチウム電池でした。先に出国審査、厳しいセキュリティー・チェックを経て搭乗エリアに辿りつかれていた一行は、売店で冷たいビールと昼食代わりのラーメンで一息ついておられました。
午後1時50分、NH1936便の搭乗案内があり、ほぼ満席の機内で離陸を待ちましたが、定刻の午後2時10分を過ぎてもなかなか動きませんでした。しばらくして、機長から空港発着機の渋滞と厦門上空の天候悪化のため管制塔から許可が下りるまで待機する旨、アナウンスがあり、午後3時になってようやく同便は離陸体制に入りました。こうして一行は無事、帰国の途につき、機中では強行日程の長旅の疲れとともに、旅で出会った古い知人や新たな知人との触れ合いを思い出しながら、一行はいつしか深い眠りについていました。
午後7時30分、同便は定刻よりわずか15分遅れで、厦門に比べればまだまだ残暑厳しい成田国際空港に到着。先を急ぐ一行は流れ解散となり、到着ゲートでは別れの挨拶もできないまま、今回の旅の全ての日程を無事、終了することができしました。
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今回、筆者は初めて日宗懇・訪中代表団の一員として同行させていただきましたが、中国仏教協会側の日宗懇に対する絶大な信頼と期待の表れを身近で触れることができ、改めて日宗懇の存在意義を認識することができました。
日中関係がギクシャクし、日本からの様々な訪中団の要人会見が中止を余儀なくされる厳しい状況下にあって、北京での破格待遇の要人会見や福建省各寺院の熱烈歓迎ぶりを体験し、永年に渡る日中両国の仏教関係者の友情の絆は今後とも強まることはあっても、永遠に途切れることはないことを知らされた大変有意義な旅となりました。こうした機会を与えていただいた持田団長をはじめ、日宗懇の皆さんには心から感謝申し上げます。
また、強行日程の中、団員の皆さんには、行き届かない点が多々あったにも関わらず、暖かいご協力を賜り、無事帰国できましたことに対し、この紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。本レポートはあくまでも筆者の私見に基づくものであって、事実誤認や非礼があることと存じますが、何卒、ご容赦願います。団員の皆さんにとって、本レポートが旅の良き思い出として少しでも役立てば幸いです。謝謝!
(〆)
6日目 コロンス島観光 & 帰国手続き
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