山東省最後の日、日中気温26℃の快晴の朝でした。豪華なホテルロビーはドイツ風の雰囲気が漂っており、部屋からは遠くに海が見えていました。午前6時半からの朝食を済ませた一行は、帰国準備を済ませ、各自早々にチェックアウトして、この日も最後の李ジュンさんを待ちました。何と李ジュンさんは巻物等の大きな土産物を抱えて全線ガイドというより、単なる観光客帰りのような姿で現れました。午前8時半、ホテルを出発した一行は最後の訪問先「青島市博物館」に向かいました。雲ひとつ無い青空の下、高級マンションの建ち並ぶ青島市街を東へと進むと、やがて左側に立派な建物が見えてきました。宮殿式とアラビア風の建築で構成される新館は2001年6月24日にオープンした同博物館でした。
午前9時、一行は女性係員の案内で、青島周辺地域で発掘された新石器時代の陶器類から、夏・商代の青銅器、春秋戦国期の武具類、漢・唐代の生活具類や貨幣等々、各地の博物館で見学してきた多種多様な文物の復習をするかのように見学していました。この日、博物館を見学する子供達の団体が先生の注意を受けながら賑やかに見学していました。
午前10時40分、全ての見学を終えた一行は帰国のため、「青島流亭国際空港」へと急ぎました。途中の車内では“台風25号”の進路を確認しながら、李ジュンさんは「だいたい大丈夫だ」と何回も力説していました。李ジュンさんの口癖がうつった劉偉さんも「だいたい大丈夫」とのことでした。午前11時半、空港に到着した一行は、この7日間、約1500キロに及ぶ旅程で安全運転をしてくれた趙強さんに感謝の意を伝え、お別れとなりました。
空港では順調に搭乗手続きを済ませた後、李ジュンさんと劉偉さんとのお別れとなりました。今回のお二人の組合せは一行にとっても“だいたい良かった”との評価で、楽しい旅を演出してくれたお二人に心より感謝しつつお別れし、出国審査へと進んでいきました。
各自、日本へのお土産を調達しながら搭乗案内を待ちました。午後0時半、NH928の登場案内があり、ほぼ満席の機内へと乗り込み、定刻よりやや遅い午後2時に機は離陸しました。途中、台風の影響で多少の揺れがありましたが、順調に飛行を続け、午後6時頃、小雨降る「成田国際空港」に到着しました。接近しつつある台風25号の影響で、JR東日本を始め、この日の鉄道各社は午後8時以降、運休するとの情報に、一行はスーツケースをピックアップするターンテーブル前で流れ解散とし、各自、帰宅を急ぎました。
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今回の山東省を舞台にした6泊7日の考古学ツアーでは、北京大学の徐天進先生、山東大学の路国権先生のご同行を始め、関係者の皆さんの絶大なご支援・ご協力により、黄河中・下流域に栄えた新石器時代の多彩な遺物から、春秋戦国期の斉国の文明まで、多種多様な文物に直接触れることができ、山東省の古代文明の奥深さとともに、中国文明の多様性を改めて学ぶことができました。
今回は、「特別講義」でお世話になった山東省文物考古研究院の劉延常先生には、現在発掘中の「滕州大韩墓地」等の見学を許可していただき、中国考古学界の活発な活躍ぶりを垣間見ることができたことは大きな喜びでした。劉延先生を始め、各地の発掘現場及び博物館関係の先生方には、この紙面をお借りして心より感謝申し上げると同時に、今回のツアー催行に当たってご助言・ご尽力を賜りました北京大学考古文博学院の徐天進先生、前・早稲田大学文学院の稲畑耕一郎先生に対し、改めて心より御礼申し上げます。
こうした民間レベルでの日中文化交流が今後とも継続・発展することを切に願いつつ、今回の報告とさせていただきます。
尚、筆者の記憶違いによる事実誤認、旅先での不行き届きな点が多々あったことと存じますが、何卒、ご容赦下さいますようお願い申し上げるとともに、当報告書が参加者の皆さんにとって懐かしい想い出の一助になれば幸いです。
(文責:郡山/写真:中北・郡山)
3日目 「滕州大韩墓地」&「大汶口遺跡・大汶河、明石桥、民居」
7日目 「青島市博物館」& 出国・帰国
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